MODA PRESS

【TKO通信】~販売代行の落とし穴~

販売代行を検討中のクライアント企業様、そして現在販売代行にてご出店中で人材に関してご不安をお抱えのクライアント企業様へ。

販売代行企業の選び方は売上と同時にブランドや企業が地元に根付くかどうかを左右するため非常に重要です。

お陰様で毎回大変な好評を頂戴しておりますTKO通信ですが、前回【TKO通信】~空前の売り手市場到来~ではクライアント様から「耳の痛い話」というお声を頂きました。弊社は厳しい話もクライアント様にとって有益であると考えればしっかりとお伝えしてまいります。今回は代行ビジネスを開始して培ってきた経験からかなり多い危険な間違いをテーマ「販売代行の落とし穴」として取り上げ【TKO通信】としてご紹介させて頂きます。Takeofferではお客様の具体的なお悩みにお答えし、その期待に応え、更には付加価値を創造する提案が出来るよう努めてまいります。

これまでの「経営・法令順守偏」に続きました 「販売ノウハウ偏」「代行における従業員のキャリアパス偏」「契約条件偏」、「研修制度編」、「インバウンド特別篇」TKO通信バックナンバーと併せて是非販売代行会社の選択にご参考下さいませ。

労働者派遣法に抵触する!?販売代行の落とし穴とは?

昨今の代行会社やクライアントの動向を見ていると「派遣は料金が高いから販売代行」という選択を取られたり、取っていることが多いことに気が付きます。販売代行は派遣のいわゆる"下位互換性のあるサービス"では無いことは【TKO通信】~代行料金の正価を知る~でも述べているように、派遣との決定的な違いは「指揮命令者の有無」でしょう。派遣がクライアント直接雇用の指揮命令者のもとに就業するスタッフを提供するのに対して、販売代行はその「指揮命令者:店舗では一般的に店長」自体も自社で立てるという点だけを見ても、販売代行(業務委託)が派遣よりも難しいミッションを抱えていることは明らかです。その中でコストダウンの選択肢として販売代行(業務委託)を選ぶことは非常にリスクであると言えるでしょう。ファッション業界特有の問題でもある本問題を読み解いていきたいと思います。

1807_TKO通信01.png

労働者派遣と販売代行(業務委託)の違いを明確に知っておく必要があります!

販売代行(業務委託)と派遣とは

本業界における「販売代行」契約とは法人間同士(時に個人事業主であることもありますが)で「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」契約を行うことを言います。簡単に言うと「クライアント先の商品を代わりに販売すること」という契約です。参考までにですが、法律用語で「業務委託契約」や「販売代行」という契約は存在しません。便宜上作られた呼称であり、実際には「請負契約」という呼称になります。それではその違いを改めてみていきましょう。

■請負契約(業務委託・販売代行)

「請負契約」とは、結果として一定の成果を前提とする契約です。「仕事を完成させた」という成果に対して報酬が発生します。例えば販売代行であれば「一ヶ月クライアントブランドの商品を販売し続けた」ということでしょう。あくまでも「代わりに販売する」ことを成果としており、そのプロセスに関与することは法人間の窓口では可能ですが現場への介入は出来ません。

■派遣とは

派遣元の事業主が自己の雇用する労働者を、労働者派遣契約を結んだクライアント(派遣先)の労働に従事させることを言います。この場合の労働者は派遣先の担当者の指揮命令を受けて働きます。労働者が業務上でのトラブルやその対応依頼、相談等は現場の担当者ではなく、雇用主となる派遣主とのやりとりになります。派遣者と派遣先担当者とは、一般的なコミュニケーションを除き業務上の指揮命令等は禁止されています。

派遣と請負で最も注意すべきポイント

■請負の作業者(販売代行会社の従業員)にクライアントが直接指示をしてはけません。
請負で働いている作業者(販売代行会社の従業員)は、顧客の店舗に常駐していたとしても顧客の指揮命令を受けることはありません。もしもクライアントが作業の指示を直接労働者にしている場合は、請負の形態で派遣社員を使っているという「偽装請負」とみなされてしまいます。それは現場に常駐しているいないに関わらず、電話等で遠隔地から指示を出している場合も同様です。労働契約を結んでいない相手から無謀な指揮命令を受けることになると労働者の労働条件が悪化してしまいます。それを防ぐために労働関係法で偽装請負を禁止しているのです。クライアントから要請がある場合は、請負業者の責任者を経由して指示を受ける(法人間窓口同士)ことになります。労働者に直接指揮命令している場合は、適正な請負といえない(偽装請負)と判断され、派遣法の適用を受けたり、職業安定法第44条で禁止されている「労働者供給事業」に該当したりする場合がありますので注意が必要です。

1807_TKO通信02.jpg

落とし穴に落ちないようにするために重要なポイント3つ

ここまで読んで頂くと恐らく本業界のほとんどの販売代行利用者が極めてリスクの高い運用をしていることに気付くと思います。それが慣例だと言われればその通りですが、繰り返しお伝えしているようにこれからの社会は「コンプライアンス遵守」や「他業界との人材の奪い合い」に主眼を置かなければいけません。そのために慣例と目を逸らしている状況にはならないので、下記の3つのポイントを重視する必要があるでしょう。
① 適切な価値確認(料金把握)
② 適切な関係性構築(コミュニケーション)
③ 適切な法令理解(コンプライアンス遵守)
①に関しては【TKO通信】~代行料金の正価を知る~で述べているように、"販売代行事業"が"労働者派遣事業"の下位互換ビジネスでは無いという認識が必要です。その上で結果として一定の成果を前提とする契約とするために双方が協力して取り組むべき事項を明確にし、進めていくことが重要でしょう。②に関しては「丸投げ」をしたり、「子会社」のような扱いをするクライアントも少なくありません。クライアントの方々にも伝えていますが、売上とは「トラフィック:館やモールの集客能力」、「ブランド力:クライアントブランドがその地域の求める商品を適切に供給しているか」、そして我々の担う「販売力:商品価値を空間と共にお客様に確かにご紹介出来ているか」の三位が一体となって最大の結果に辿り着くものと考えています。我々は全体の3分の1に過ぎないわけですから33%を館・ブランド・TKOが三位一体で最大限努力をした先に1%のボーナスが加算され100%になるのだと考えると、「お互いに尊敬と威厳を持って接するコミュニケーション」が何よりも重要であることが分かるのでは無いでしょうか。③に関してはセンチメントでは無くファクトの話になりますので、どんなに①と②を理解していても③が担保されなければそれは違法行為ということになります。知らなかったでは済まされない事項ですので、クライアント担当者も確実に学んでおく必要があるでしょう。

1807_TKO通信03.jpg

ーお知らせ(現在の予約状況:チーム提案が出来ます!!)ー

今まで北海道、沖縄エリアに特化していた弊社ですが四国、中国地方、北陸地方、名古屋地区、東京都内での販売代行運営を開始、今後は全国どこでもTakeofferクオリティでの運営が可能になりました。
またお陰様で現在大変多くのクライアント様よりご依頼を頂いております。しかしながら弊社では双方にとってリスクの多いことから、無理受けすることを致しておりませんが、現在北海道(札幌)・北陸(金沢・小矢部)に関しては人材や店舗の提案が比較的容易な極めて珍しい状況となっております。既存のクライアント様、または一度お声掛けを頂いているクライアント様には出来る限り優先してご案内が出来ればと考えておりますので、お急ぎの案件等ございましたら担当までご相談下されば幸いです。

株式会社Takeofferはアパレルコンサルティング以外にも公認会計士・税理士等財務のスペシャリストがおりますので運営条件を根拠のある数字で明解にご提案しております。

今回の【TKO通信】は法務や経営的視点から見る販売代行というテーマでお伝え致しました。
このようにクライアント企業様には安心してご依頼頂くことが出来る、そして従業員の皆様には安心して就業出来る環境をTakeofferは用意しております。これからも少しずつお客様から頂戴しておりますお問合せや現地からの情報をご紹介させて頂きます。これからの少子高齢化に伴う主要人材確保が困難になる時代の中で確かに貢献すべくTakeofferは常に進んでまいります。

アウトレットモールや百貨店への販売代行でご出店をご検討もしくは出店中でお悩みをお抱えのクライアント様は是非お気軽にご相談下さいませ。

● Auther
Takeoffer 販売代行エージェント

Takeoffer 販売代行エージェント

ラグジュアリーブランドの人事として人事業務全般、主にリクルーティング責任者として従事。 その後独立しファッション業界専門の販売代行、有料職業紹介事業を中心に提供。

TKO通信の記事一覧

関連するページ