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【TKO通信】~販売スタッフの給与を上げる唯一の方法~

販売代行を検討中のクライアント企業様、そして現在販売代行にてご出店中で人材に関してご不安をお抱えのクライアント企業様へ。

販売代行企業の選び方は売上と同時にブランドや企業が地元に根付くかどうかを左右するため非常に重要です。

お陰様で毎回大変な好評を頂戴しておりますTKO通信ですが、前回【TKO通信】~販売員に求められる進化とは~では、自社スタッフからも多くの反響がありました。弊社は一貫性を持ち、販売代行企業では無く、人材総合コンサルティング企業としてクライアント企業様の人材問題を総合的にサポートするだけでは無く、社内教育においては販売テクニックのような業界特有のものでは無く、ビジネスパーソンとしての考え方やキャリア形成に重きを置き、その結果として結果の出せる販売スタッフになっているという取り組みを続けております。今回はこの流れを受けまして、更に販売スタッフのマインドセットを整える内容を、【TKO通信】としてご紹介させて頂きます。Takeofferではお客様の具体的なお悩みにお答えし、その期待に応え、更には付加価値を創造する提案が出来るよう努めてまいります。※法的に具体的な助言が必要な場合は弁護士にすることをお勧めします

これまでの「経営・法令順守偏」に続きました 「販売ノウハウ偏」「代行における従業員のキャリアパス偏」「契約条件偏」、「研修制度編」、「インバウンド特別篇」TKO通信バックナンバーと併せて是非販売代行会社の選択にご参考下さいませ。

販売スタッフの給与を上げる方法を考察します

『アパレル販売スタッフの給料は低い』。残念ながらこれは事実です。ビジネスの根本を考えれば、給料はマーケットバリュー(市場価値)であり、『転職の思考法』で、著者の北野唯我氏は、給料について次の図式で説明しています。

①技術資産×②人的資産×③業界の生産性

つまり、①専門性があり、②人脈から作れる利益があり、③アパレル産業の生産性で決まる、ということになります。国家資格でも無いアパレル販売スタッフは、所謂「誰にでも出来る仕事」と考えられているとすると①は弱く、③の生産性は近年不良在庫が問題になっているように、効率的とは言い難い状況です。②に関しても一部の優秀な人材以外は活用しているとはいいがたく、簡単に考察する限りでもマーケットバリューが高いとは言えないのが現状でしょう。

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アパレル販売スタッフの年収は他業界と比較しても「最低レベル」

職業情報サイトである「キャリアガーデン」が掲載している「アパレル店員の平均年収」を見ると、各社の統計データをもとに算出すると、アパレル店員の平均年収は320万前後になるそうです。現在、日本人全体の平均年収が約420万円と言われていることから考えると、一般的な職業よりも給与水準は低めと言えるでしょう。令和元年度賃金構造基本統計調査によると、「販売店員」の平均年収は40.2歳で約334万円となっています。これは2018年の国税庁の調査を見ても、40代前半の平均年収は468万円、40代後半496万円(ボーナス・残業代ななどの手当含む)ということですから、年齢が上がるにつれて更にその格差は広がっていくことを示しています。さらに元々給与水準が高く無いことに加えて、店頭で着用する制服を完全貸与されるブランド(主に外資系ブランド)以外では、試着販売用の自社ブランド服を社員価格で購入しなければいけない負担も存在します。低価格ブランドは10%~20%引き程度、セレクトショップは概ね40~60%引き、ハイブランドやラグジュアリーブランドが60~80%引きまで、価格が高くなるほど割引率も大抵は上がっていきますが、販売スタッフの負担額は月給の1割以上にもなることもしばしばあるようです。これはアパレル業界特有の知られざる負担でしょう。

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何故アパレル販売スタッフの給与は「低い」のでしょうか

では何故アパレル販売スタッフの給与は「低い」のでしょうか。それは生産性(一人当たり売上、正確には一人当たり粗利益高)を見れば容易に理解することが出来ます。その生産性を分解すると、大きく2点の問題が見えてきます。

その①~商品の利益率の低さ~

アパレルは一般的に、アイテムやブランドなどによって差はあるものの、商品の原価率は25%~30%程と言われています。原価率が低いのであれば、儲けは大きいと思われがちですが、それだけ間接人材費用(売上に直接関与しないポジション、MDやVMD、PR、マーケティング等)が高く、また広告宣伝費や、その一環で旗艦店を高額な賃料の場所に出したりと、とかく経費がかかっています。また近年問題になっている、ロスの多さも見逃せません。全商品全店完売することは基本的にありません(店頭に商品が無い状況を見たことが無い)ので、最初から数十%は破棄する(売れない)前提で商品を作っており、これも費用を圧迫しています。つまりアパレルはどんどん1商品を売ることが難しくなっているに関わらず、その商品を売った貢献が少ないビジネスということです。まずこの時点で、ビジネスモデルとして薄利にならざるを得ないという背景をご理解頂けると思います。

その②~非効率な就業スタイル~

販売員の業務は「接客販売」だと思われるかも知れませんが、総労働時間に占める「接客販売」時間は、高級ブランドやプレタ、オーダーなどでもせいぜい20%前後、一般的なブランドでは10%弱で、セルフ販売の大型店では5%にも届きません。よくある業務は「売場案内」や「在庫探し」で、「コーディネイト」や「フィッティング」は極めて限られているのです。最も多いのは「品出し・補充」や「陳列整理」で、これが総労働時間の3-4割を占めています。これはもはや物流業務とも言え、特にファストファッション系の販売員の時給単価が、物流倉庫スタッフの時給単価とニアイコールになってしまう要因と考えられるのです。そのほか、アパレル店舗で多いのが「手待ち時間(お客様を待っている時間)」で、トラフィックがそもそも無い百貨店などに入っている店舗では3-4割以上も占める場合があります。地方の閑散としている店舗ではもっと高いかもしれません。これは簡単に言えば、「店番」であり、生産性はゼロですが、お客様が来ないであろう時間帯でも最低1~2人は立っていないと売場が保守できなず、更にリアルな事情としてはトイレにも行くことすら出来なくなってしまいます。現在、基本となっている週休2日制で、店舗に常時最低1名を立たせるには、社員換算2.8人の雇用が必要(22日勤務/月の場合)で、売上規模の小さな店舗では「店番」のコストが売上に見合わず、生産性が極端に低くなります。昭和のバブル期では、営業時間が短く、店長や社員が通し(早番から遅番まで1日中勤務すること)で頑張れば部分的な二交代制で保守出来ていましたが、2000年に施行された大規模小売店舗立地法により、営業時間が自由化され、概ね2時間も営業時間が長くなって以降、完全二交代制が必至になって運営人員が肥大し、販売員不足が常態化するようになったのです。そこに少子高齢化の社会情勢も相まって、販売未経験者も採用せざるを得なくなって販売員のスキル水準が低下し、売上減少に拍車をかけました。今現在、保守効率を上げるには大型化・セルフ化がマストになり、30坪と300坪では保守効率は倍も違ってきます。ユニクロや良品計画の一人当たり売上が一般のアパレルチェーンより3~4割も高く、一人当たり人件費も15%ほど高くできる所以はそこにあると言えるでしょう。

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給与を上げる唯一の方法とは

ここまで見てくると、「販売スタッフの未来は無い」、「どうしようもない」、「終わりだ・・」、そんな声が聞こえてきそうですが、諦めるにはまだ早いでしょう。少なくともアパレル・ファッション業界にいる人は、この業界が好きでいる人も多いのではないでしょうか。「もう他の業界に行くしかない・・」、そんな結論を出す前に、取れる選択肢はまだあります。ここでは、そんな悩みを抱えている販売スタッフの皆さんに唯一の方法(考え方)と、取れる選択について説明します。

唯一の考え方~根本の考え方を整える~

まずそもそもアパレル業界は、構造上利益が出しにくいということはご理解頂けたと思います。アパレル販売員のトップオブトップは年収1,000万を超えていますが、その数は他業界とは比較にならないくらい少ないわけです。ですので、その圧倒的な少数を狙う以外(トップオブトップを目指すのであればそのまま突き進みましょう)で、業界に居ながら成功するためにはアイデアが必要です。まずは、他業界比較等から正攻法の可能性を分析し、それが難しいと適切に判断し、異なる方法を取る必要がある、と考え方を整えることが重要です。そして、その異なる方法は大きく分けて2つとなります。

①インフルエンサーになり、グローバル化する

こちらは販売スタッフの属性のまま成功を狙う方法です。奇しくもコロナ禍で現場販売スタッフの販路が大きく広がっています。それはオンライン販売です。ここで言うオンライン販売とは、Instagram(インスタグラム)を筆頭とするSNSを活用し、エリアを問わない多くの潜在的お客様にコーディネートや商品説明と共にアプローチをすること、そしてライブコマースのようにインフルエンサーがダイレクトにliveで商品を宣伝することを言います。これまで現場スタッフはその店舗に来るお客様だけが購買対象者でした。しかし、オンライン販売ツールや戦略が時代背景を受けて一気に整ったことにより、地方の小型店舗のスタッフが日本全国、ひいては世界のお客様に直接アプローチを出来るようになったのです。これによりトラフィック問題は解決し、売上規模も実際に数百倍にしている販売スタッフが出てきている等、販売スタッフの未来に大きな光を灯しています。セルフブランディングを通して、誰もがインフルエンサーになれる時代、どこで火がつくか分からない時代、販売スタッフも一夜でスターになることがあり得ます。そのためには最新の情報をしっかりキャッチアップし、トレンドや語学の勉強も必要となるでしょう。

②アパレル業界で違う切り口を探す

もう一つは、アパレル業界で販売以外のビジネスモデルを選択する方法です。代表的なものは弊社の事業である人材業でしょう。アパレル業界にしか無い、販売代行というビジネスはその際たる例では無いでしょうか。直営店の販売スタッフのキャリアが店長で終わり、その後も非常に椅子取りが激戦な本社勤務しか無い状況と異なり、人材業ではそもそも扱う商材がモノでは無く、ヒトになります。そして、いち営業が担当する人材の数は、派遣で大手企業場合100人前後、中小企業で6-70人です。圧倒的な高利益率のビジネスモデルで高収益は営業へ還元され、またマネジメントを学ぶ上でも絶好です。大企業は広告宣伝費や好立地なオフィス賃料に経費を回し、営業へ還元出来ていない会社もあるようですが、テレワークも可能なこの就業スタイルは、ビジネスモデルとしてアパレル企業とは一線を画します。販売代行も兼業している場合、実際に店舗運営を行うことで販売スタッフのノウハウも活かせます。傍から見ていれば同じ「販売スタッフ」なのに、実は給料が全然違う、という環境も作ることは可能です。

大切なことは知ること、そして行動すること
この上記の選択肢は以前からも存在しています。しかし知らなければ永遠に気付かないままです。そして、知るためには行動することが必要です。「販売スタッフの未来は無い」、「どうしようもない」、「終わりだ・・」、と嘆くのではなく、「どうぜ給料なんて上がらないし」、と諦めるのでも無く、この状況で、時勢でも給料を上げ続けているアパレル業界の人材は存在すると言うことを知りましょう。そして、積極的に情報を取り、話を聞くための行動をしましょう。まだまだこの業界には多くの可能性が存在するのです。それを掴むかどうかは、他の誰でもない、あなた次第です。

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ーお知らせ(現在の予約状況:北海道・沖縄地区の人材登録が増えています!!)ー

北海道、沖縄エリアに特化していた弊社ですが四国、中国地方、北陸地方、名古屋地区、東京都内での販売代行運営を開始、今後は全国どこでもTakeofferクオリティでの運営が可能になりました。またお陰様で現在大変多くの人材登録を頂き、またクライアント様よりご依頼を頂いております。しかしながら弊社では双方にとってリスクの多いことから、無理受けすることを致しておりませんが、現在、強みを持っている北海道地区(レラ・MOP北広島・札幌市内の百貨店)で店舗が増え、沖縄地区でも県内最大商業施設である(サンエー浦添西海岸PARCO CITY)へ出店を成功させています。現在北海道および沖縄地区では常駐の担当がおり、スケールメリット確保による運営の受注が出来るケースが増えると共に、登録人材が一気に増えておりますので一度お気軽に担当までご相談下されば幸いです。
また、株式会社Takeofferはアパレルコンサルティング以外にも公認会計士・税理士等財務のスペシャリストがおりますので運営条件を根拠のある数字で明解にご提案しております。

今回の【TKO通信】はそもそもの理由を探るところから「販売スタッフの給与を上げる方法」についてお伝え致しました。このようにクライアント企業様には安心してご依頼頂くことが出来る、そして従業員の皆様には安心して就業出来る環境をTakeofferは用意しております。これからも少しずつお客様から頂戴しておりますお問合せや現地からの情報をご紹介させて頂きます。これからの少子高齢化に伴う主要人材確保が困難になる時代の中で確かに貢献すべくTakeofferは常に進んでまいります。
アウトレットモールや百貨店、オフプライスストアへの販売代行でご出店をご検討もしくは出店中でお悩みをお抱えのクライアント様は是非お気軽にご相談下さいませ。

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Zoom・Teamsのオンライン商談も対応可能です。詳しくはお電話(045-567-1073)もしくはメール(info@takeoffer.co.jp)にてお問い合わせ下さいませ。エリア担当より折り返し申し上げます。

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Takeoffer 販売代行エージェント

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ラグジュアリーブランドの人事として人事業務全般、主にリクルーティング責任者として従事。その後独立しファッション業界専門の販売代行・労働者派遣事業・有料職業紹介事業を中心に提供中。業界を整えることをミッションとしています。

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