MODA PRESS

【TKO通信】~その配置転換はパワハラかも!?~

販売代行を検討中のクライアント企業様、そして現在販売代行にてご出店中で人材に関してご不安をお抱えのクライアント企業様へ。

販売代行企業の選び方は売上と同時にブランドや企業が地元に根付くかどうかを左右するため非常に重要です。

お陰様で毎回大変な好評を頂戴しておりますTKO通信ですが、前回【TKO通信】~これからの販売代行の選び方とは~では早速ブログを見たというお客様から新規で多くの反響がありました。相変わらず販売代行=コストダウンを重視している企業も多いですが、最低賃金で最高の結果を求めることは出来るはずも無く、ビジネスとして双方にメリットが無い状態は結果としてクライアントを傷つけます。弊社は一貫性を持ち、販売代行企業では無く、人材総合コンサルティング企業としてクライアント企業様の人材問題を総合的にサポートしてまいります。今回は新型コロナウイルスの影響でアパレル業界はコストダウンを図る一環でよくありがちな、配置転換とパワハラについて取り上げ、【TKO通信】としてご紹介させて頂きます。Takeofferではお客様の具体的なお悩みにお答えし、その期待に応え、更には付加価値を創造する提案が出来るよう努めてまいります。※法的な具体的な助言が必要な場合は弁護士にすることをお勧めします

これまでの「経営・法令順守偏」に続きました 「販売ノウハウ偏」「代行における従業員のキャリアパス偏」「契約条件偏」、「研修制度編」、「インバウンド特別篇」TKO通信バックナンバーと併せて是非販売代行会社の選択にご参考下さいませ。

不況時にアパレル業界でよくある不当な配置転換

新型コロナウイルスの影響でファッション・アパレル業界が大変な苦境に立たされていることを前回取り上げました。2008年のリーマンショックの際でも多く見受けられましたが、企業が生き残りを考えた際に、間接人材、つまり総務や事務といった、本社職に多い、利益を直接的に生まない間接的ポジションの人件費は重荷となります。アパレル業界は特殊なので、営業職もその名とは裏腹に管理職(非生産性ポジション)なので、同様です。会社が生き残るためとはいえ、配置転換をした結果、従業員から「パワハラ」と受け取られてしまうケースも珍しくありません。パワハラ問題は訴訟や会社自体のイメージ悪化に繋がる、まさにレピュテーションリスクを多分に含みます。今回は、そのようなリスクを回避するためにも、配置転換によってパワハラになるケースや配置転換が無効になってしまうケースについて取り上げていきます。

2009_TKO通信01.jpg

配置転換がパワハラとなるケース

では、具体的にパワハラとはどのようなものがあるでしょうか。大きく分けると以下の6つに分けられています。

身体的侵害

目に見えて分かりやすい暴力や傷害のこと。殴る・蹴る・突き飛ばすなど。また、立ったまま長時間電話営業をさせるようなことも身体的侵害型のパワハラと言えます。

精神的侵害

脅迫や名誉毀損、侮辱、酷い暴言などの精神的侵害はパワハラの典型例と言えます。結果的に精神障害を患ってしまうようなこともありえます。

人間関係からの切り離し

無視、隔離、仲間はずれにするなどの行為も、度が過ぎるとパワハラに該当する可能性があります。仕事を教えない、担当を隔離する、といった内容です。

過大な要求

業務上明らかに達成不可能なノルマを課すことで、相手の職場環境が害されている場合は過大な要求としてパワハラに該当する可能性があります。更には、達成できなければ、自腹で購入を迫る、怒鳴る、殴るなどの他のタイプのパワハラとも併用されます。

過小な要求

一方、程度の低い単調な作業を与え続けることも、これにより相手の職場環境が害されている場合はパワハラに該当する可能性があります。毎日デスク周りの掃除などしかやらせなかったり、単調な作業を延々とさせることも度が過ぎればパワハラとなりえます。

個の侵害

プライベートな内容に過剰に踏み入ってくる行為も、相手に精神的苦痛を与えたり、職場環境を害することがあればパワハラと言えるでしょう。なお、女性に対して個の侵害を行なうと、セクハラともなる可能性も大いにあり得ます。

以上の6種類が存在し、上記のうちのどれかに当てはまればパワハラと見なされます。これらを踏まえた上で、配置転換がパワハラになるケースについて見ていきましょう。

妊娠や出産を機に閑職へ追いやる

従業員の結婚や妊娠・出産を機に、一方的に閑職へ追いやるのは、転換が「権利濫用」にあたるため、パワハラになり得ます。店長を降格させることも該当するでしょうか。一方的ではなく、必ず当該従業員と相談し、従業員の意思を尊重するようにしましょう。

配置転換を拒否した従業員への嫌がらせ

従業員には、配置転換の打診を受けた際に、不当と思えば配置転換を拒否できる場合もあります。そのため、配置転換の拒否した従業員へ執拗に配置転換を要求したり、それが理由と考えられる嫌がらせをしたりすることはパワハラに該当します。

配置転換を無理に要求する

配置転換の内容によっても、パワハラかどうか判断されます。通勤時間が社会通念上逸脱した時間のかかる場所への異動や、給与削減などが発生したりするような、無理な配置転換をされたときはパワハラになる可能性があるでしょう。また、仕事で失敗したなどでの配置転換は、「報復人事」としてパワハラにあたる可能性があります。

従業員の個々の事情に配慮せずに配置転換をする

会社だけでなく、スタッフにも様々な都合があるでしょう。親の介護が必要になったり、育児をしなければならなかったり、場合によってはどうしてもその場所にいなければならないケースもあるでしょう。そうした従業員の事情を一切把握、考慮せずに、地方に異動させるような配置転換もパワハラにあたるといえるでしょう。

2009_TKO通信02.jpg

配置転換が無効となるケース

取り上げた以外でも配置転換が無効になるケースが存在します。ここでは、配置転換が無効になるようなケースについて見ていきましょう。

就業規則に配置転換命令が明記されていない場合

配置転換するとき、就業規則に配置転換命令が出せることが書かれている場合であれば、社員の同意なく配置転換の命令が出せることになっています。ですが就業規則に配置転換命令が明記されていないと、従業員は配置転換に対し、拒否することが可能です。配置転換をする前に、まず就業規則を確認し、明記されていない場合、会社としては就業規則に追記する必要があるでしょう。

配置転換が権利濫用にあたる場合

もし配置転換命令に明記されているような場合であっても、職権濫用にあたる場合は配置転換が無効になることもあります。
職権濫用にあたるかどうかについては、
・業務上配置転換を行う必要性があるかどうか
・従業員への通常甘受すべき程度を著しく超えるような不利益があるかどうか
・もし業務上で必要性がある場合でも、配置転換が不当な動機や目的かどうか
・配置転換における人員の選択が合理的かどうか
・配置転換の手続きや経緯における特別な事情があるかどうか
などを考慮して判断されます。
なお、「従業員への通常甘受すべき程度を著しく超えるような不利益があるかどうか」については、
・給与の減少もしくは勤務場所の変更における不利益
・通勤時間の大幅な増加など労働条件に関わる不利益
・労働者や家族の健康、さらには子供の養育など社会生活における不利益
などが基準になると考えられます。

専門職として雇われたのに他の職種に配置転換された場合

従業員がもつ専門性から程遠い職種に配置転換した場合、無効になる可能性も考えられます。
たとえば本社人事職として雇った従業員を、コロナウイルス等の売上減を理由に、店頭販売職として強制的に配置転換した場合、配置転換として認められない可能性が高いでしょう。実際にリーマンショック時に同様のケースを見てきましたが、自己都合による退職をした場合も会社都合に切替られていたことを鑑みるとアパレル業界ではNGの配置転換と言えそうです。

2009_TKO通信03.jpeg

不当な配置転換(パワハラ)に対しての判例

実際に、不当な配置転換に対し損害賠償が認められた判例をご紹介します。

パワハラが認められたケース

親和産業事件:平成25年4月25日判決
●事件概要
2ヶ月間の退職勧奨の後、それを拒み続けていたAは、後に営業部の管理職から、倉庫業務に降格されました。倉庫業務はそれまで、大卒者が就いた前例もなく(Aは大卒)、給料は2分の1になってしまいました。
●判決
降格命令は社会的相当性を逸するとして無効とされました。更に、降格命令後の差額分の支払い命令、賞与の下限額の約8割の支払い命令、また、精神的苦痛もあったとして50万円の慰謝料の支払い命令もありました。
●パワハラとの関係性
会社からの一方的な命令、退職勧奨、不当な降格とパワハラ以外にも多くの問題があった今回の件ですが、今まで大卒者が就業したことない倉庫業務に就かせたことは、過小な要求型のパワハラが考えられます。

パワハラが認められなかったケース

ホンダカーズA株式会社事件 平成25年12月10日判決
●事件概要
原告Aは、先輩社員Bにパワハラを受けたとして、不法行為、安全配慮義務違反に基づき、会社に対して慰謝料の請求を求めました。パワハラの内容は、暴言、暴力、徹夜での作業の命令などです。
また、会社の代表にもパワハラについて相談するものの「上司の言うことは、神様の言葉に等しい。君は協調性がない。」などと相手にされなかったとのことでした。

●判決
判決の結果、パワハラでの慰謝料請求は認められませんでした。同時に訴えていた未払賃金の請求の一部は認められたようです。

●パワハラと認められなかった理由
今回の件で認められなかった理由は、圧倒的な証拠不足によるものだそうです。原告と被告双方の言い分が一致せず、拠り所となる証拠が足りないことが認められなかったということですね。パワハラやセクハラは、証拠集めが難しく、また日本の裁判制度は原則訴追者側に立証責任があるため、裁判まで持ち込むのであれば、一定の証拠が必要である、ということです。そのため実際には、証拠を整えることが難しい(ので断念した)というケースもあるようです。

2009_TKO通信04.jpg

まとめ~法令順守と販売のスキルで永続的な関係を~

今回は、不景気なコロナ禍でありがちな「配置転換におけるパワハラ」をテーマにしました。パワハラには明確な定義がないのが現状です。しかし日本の法律は従業員を保護している面が強いのは否めませんので、企業担当はこの配置転換およびパワハラについて正しい知識を持つことが重要です。特に最近では、レピュテーションリスクをないがしろにした結果、全く採用が出来なくなってしまった代行会社や、訴訟によりすっかり悪評の立った派遣会社など、SNSを通して間接的な攻撃から直接的なダメージを受けるケースも少なくありません。実際に既述した通り、アパレル業界では売上減少に伴う本社管理職の整理の一環で、管理職を現場販売職へ異動させることが横行していますが、実際には違法な配置転換と判断されるケースもあり得ます。弊社では積極的に適切なコンプライアンス研修を行い、このレピュテーションリスクをしっかりとヘッジし、永続的に活躍できるメーカーやブランド様をサポートしてまいります。

ーお知らせ(現在の予約状況:北海道・沖縄地区の人材登録が増えています!!)ー

北海道、沖縄エリアに特化していた弊社ですが四国、中国地方、北陸地方、名古屋地区、東京都内での販売代行運営を開始、今後は全国どこでもTakeofferクオリティでの運営が可能になりました。またお陰様で現在大変多くの人材登録を頂き、またクライアント様よりご依頼を頂いております。しかしながら弊社では双方にとってリスクの多いことから、無理受けすることを致しておりませんが、現在、強みを持っている北海道地区(レラ・MOP北広島・札幌市内の百貨店)で店舗が増え、沖縄地区でも県内最大商業施設である(サンエー浦添西海岸PARCO CITY)へ出店を成功させています。現在北海道および沖縄地区では常駐の担当がおり、スケールメリット確保による運営の受注が出来るケースが増えると共に、登録人材が一気に増えておりますので一度お気軽に担当までご相談下されば幸いです。
また、株式会社Takeofferはアパレルコンサルティング以外にも公認会計士・税理士等財務のスペシャリストがおりますので運営条件を根拠のある数字で明解にご提案しております。
今回の【TKO通信】は新型コロナウイルスの影響で起こる「違法性のある配置転換」についてお伝え致しました。このようにクライアント企業様には安心してご依頼頂くことが出来る、そして従業員の皆様には安心して就業出来る環境をTakeofferは用意しております。これからも少しずつお客様から頂戴しておりますお問合せや現地からの情報をご紹介させて頂きます。これからの少子高齢化に伴う主要人材確保が困難になる時代の中で確かに貢献すべくTakeofferは常に進んでまいります。
アウトレットモールや百貨店、オフプライスストアへの販売代行でご出店をご検討もしくは出店中でお悩みをお抱えのクライアント様は是非お気軽にご相談下さいませ。

zoom.pngTeams.png

Zoom・Teamsのオンライン商談も対応可能です。詳しくはお電話(045-567-1073)もしくはメール(info@takeoffer.co.jp)にてお問い合わせ下さいませ。エリア担当より折り返し申し上げます。

● Auther
Takeoffer 販売代行エージェント

Takeoffer 販売代行エージェント

ラグジュアリーブランドの人事として人事業務全般、主にリクルーティング責任者として従事。その後独立しファッション業界専門の販売代行・労働者派遣事業・有料職業紹介事業を中心に提供中。業界を整えることをミッションとしています。

TKO通信の記事一覧

関連するページ